注目集めるパッシブデザイン住宅

  私たちは快適な暮らしを手に入れる一方で環境への負荷になるCO2を大量に排出し続けています。

自立循環型住宅は、その住宅からのCO2排出を減らし、
快適性は損なわずに人にも環境にもやさしい住まいです。







地球環境に負荷をかけない住まいづくりを、リフォームで考えてみませんか。

自然の力を上手に活用できる住まいづくり

低炭素住宅のイメージ

パッシブデザインの「パッシブ」とは「アクティブ」の反対語で、直訳すると受身、受動的といった意味となります。エアコンなどの機械に頼るだけでなく、 太陽の光、熱、風、などの自然の力を住まいの中に上手に取り入れて、より快適な暮らしを実現するのがパッシブデザイン住宅の考え方なのです。
この考え方は、2012年12月にスタートした「低炭素住宅認定制度」にも取り入れられています。
省エネ性能に優れた住宅を「認定低炭素住宅」として認定し、一般の住宅に比べて住宅ローン減税額を多くするなどの優遇措置を適用することで低炭素化を目指すものです。
住まいの光熱費を大幅に軽減できるうえ、減税額が多くなるなどのメリットもあり、普及も進んでいくのではないかと期待されています。
パッシブデザイン住宅は、太陽光発電、高効率給湯器などの機械も欠かせない要素ですが、断熱材などによって住まいの高断熱化を促進するとともに、常時換気システムや 軒ひさしや日よけなどで自然風や太陽光といった自然の力を活用する仕組みも取り入れられています。冬は太陽の光や熱を上手に取り込み、それを逃がさないようにし、 夏は熱の侵入をできるだけ少なくし、暖まった空気を逃がすことによって屋内に風の流れをつくり、涼しい空感を創りだす仕組みとなります。

日当たりや風の流れにも配慮

パッシブデザイン住宅のイメージ

パッシブデザインは敷地に対応した配置計画から始まります。事前に現地の日当たり、風の流れなどを綿密に調査し、最適な配置を考えます。
比較的ゆとりのある敷地であれば、植栽を上手に活用します。
南側の日当たりのいい場所には落葉樹を植えて夏の日差しを防ぎます。
北側に常緑樹を植えれば、冬の北風の侵入を防ぐことも期待できます。
夏は、生い茂った葉の蒸散作用による気化冷却効果で周辺の温度が下がるので、そこに地窓を設けて室内に涼しい風を取り込みます。
敷地の北側の気温が最も低くなることが 多いので、ここからたっぷりと冷気を取り込める様にすることが効果的です。
間取りでは、出来るだけ間仕切りの少ないシンプルな構造にするか、設置する場合でも可動式にしたり、欄間を採用することで室内に風が流れる様にします。 暖かい空気は上昇するので、階段室や換気ガラリなどによって上階に空気が流れる様になります。
冬には南側の落葉樹は葉が散っているので、日射角度が低くなることを活用して、たっぷりと太陽の光を取り込める様にします。サンルームや断熱しながら日射を取り入れる ことができる高断熱ペアガラスなどを採用するのも効果的です。床断熱で足元から温め、高断熱・高気密設計にすれば熱が逃げることもありません。

パッシブデザイン住宅のイメージ

敷地が限られていて、敷地いっぱいに家を建てざるを得ない場合でも出窓や風向きをコントロール出来る開き窓などによって風を取り入れられるし、遮熱スクリーンによって 日差しを防ぐなどの工夫も可能です。また、角の一角をくぼませてL型の外観にすることで、深いひさしの設置によって日差しを防ぎ、風を呼び込めます。

敷地が狭ければ 庭は無理と考えがちですが、決してそんなことはありません。坪庭を設けることで、そこから光が差し込み、冬は暖かく、夏は涼感を演出できます。間口が狭く、奥行の深い 京都の町家などによくみられる工夫です。

もともと四季の変化が大きく、高温多湿の日本では、先人たちがさまざまな工夫を行ってきました。夏を涼しくするためには、ふすまや障子などの可動式の間仕切りだ便利で すし、ドアの上部に欄間を設けることも効果的です。それも、夏は隙間のあるもの、冬は隙間のないものに取り替えることができればなおさらです。
また、夏場は窓や外壁に ゴーヤなどの植物で緑のカーテンを配置すれば、葉の蒸散作用で涼しくなるなど、涼感の演出効果も大きなものとなります。冬場はまきストーブを使ってみてはどうでしょう。 住宅密集地では煙やすすが近所迷惑になるために敬遠されてきましたが、最近では間伐材などを加工したペレットなどが開発され、その懸念は小さくなっています。万一の停 電のときでも、調理が可能などのメリットもあります。

パッシブデザインリフォームのポイント

パッシブデザイン住宅のイメージ

パッシブデザインとはエアコン・ガスストーブなど人工物で快適を能動的に創りだすのではなく、太陽熱や風など自然の恵みを上手に活用して省エネルギーで生活する自立循環型住宅をいいます。

自立循環型住宅は、まず「自然エネルギーを最大限に活用する」ことからはじまります。自然の風、自然の光、自然の熱(太陽熱)の3つの自然エネルギーを住まいに取り込みます。 自然エネルギーを活用するのに欠かせないのが、住宅の外皮と呼ばれる壁や屋根、窓、床などの室内空間を囲む外皮の設計です。 とは言え、自然エネルギーだけでは、快適な住環境を保つのは難しいのが現状です。そこで、次に取り入れたいのが、ライフスタイルと地域特性や周辺環境に合う高効率の設備選びという順番で取り入れます。設備については、消費電力の高いものから高効率の設備を取り入れると、より効果的です。


自立循環型住宅は、すでに実用化されている技術や一般的な手法を組み合わせることで実現可能な住宅です。具体的には、「自然エネルギー活用技術(5種類)」「建物外皮の熱遮断技術(2種類)」「省エネルギー設備技術(6種類)」の13種類の方法があります。

①:自然エネルギー活用技術

■自然風の利用
冷房エネルギー消費を削減するために自然風を利用します。
特に夏場の夜間などはエアコンに頼らずに、自然風を上手に取り込むことで、冷房エネルギーを10~30%削減できます。
自然風を利用するときに着目したいのが、卓越風と呼ばれる、ある期間を通じて頻繁に吹く局地風の利用です。
敷地周辺の環境によっても異なりますので、卓越風の方向を確認し、それにあわせた建物の形状やプランニング、 風を呼び込める袖窓や出窓等などの開口部の設置で住宅内の通風経路を確保します。
ほかにも、開口部に接する庭(風上)に植栽や池を配置することで、その上を通過した風の熱が下がり、より快適な自然風を取り込むことができます。

■太陽光の利用
照明エネルギー消費を削減するために昼間の太陽光を利用します。
住宅内に光を上手に取り入れることで、快適な光環境を確保できます。天候や時間的変化から明暗の差が変化する自然光を取り入れるのは、 照度確保のみならず、視覚的な快適性を高める効果もあります。
敷地や日照条件によって左右されやすい昼光利用は、開口部から多くの光を取り入れる採光の工夫や、吹き抜け、天窓、室内の反射などを利用した導光の工夫をします。 開口部には、光を調整できるカーテン、ブラインド、障子などを設置しておくと、夏場もより快適に昼光を取り込むことができます。

■太陽光発電
太陽光の利用で、昼間は発電をして消費電力をまかなう太陽光発電。環境負荷を低減します。
日照時間の長短や天候、立地条件により異なりますが、夜間は買電するものの、発電をする日中は余剰エネルギーを売電することでランニングコストを抑えることが可能です。
太陽光発電は曇りの日でも可能ですが、日陰では難しく、日照時間の短い立地などでは、発電効率が悪くなります。 太陽光の利用効率で注意したいのが方位で、真南になるように設置します。

■日射熱の利用
日射熱の利用で暖房エネルギー消費を削減します。
日射熱を開口部などから取り入れる方法は、パッシブソーラー暖房とも呼ばれ、注目を集めています。 日射熱に大きく関係する地域の気候特性などをもとに、集熱(取得熱量を増やす)、断熱(取得熱損失を抑える)、蓄熱(取得熱の活用で室温低下を防ぐ)の工夫をします。
集熱面となる開口部は真南から東西30o以内に配置し、開口部の確保と同時に、断熱性の高い建具を使うことで熱の損失を防ぐなどの配慮も必要です。 開口部のガラスを選ぶときには、断熱性能が高く、日射透過率の大きいものを選択するとよいでしょう。

■太陽熱の利用
「太陽熱給湯」で給湯エネルギー消費を削減します。
住宅内のエネルギー消費の約30%(2000年の一般的な住宅の場合)を占めるのが給湯です。自然エネルギーの太陽熱を利用する給湯システムの導入は、 給湯部分の省エネルギー効果のみならず、住宅全体のエネルギー消費の削減にも大きく関わってきます。
補助熱源(ガス、または石油)との組み合わせで導入されることの多い太陽熱給湯は、最大50%程度のエネルギーを自然エネルギー(太陽熱)でまかなうことも可能です。 日照が確保できるかどうかが最大のポイントですが、省エネルギー効果の高い部分ですので、検討してみてはいかがでしょう。


②:建物外皮の熱遮断技術

■断熱外皮計画
「断熱外皮計画」で暖房エネルギー消費を削減します。
室内の温熱環境を快適に保つのに欠かせないのが断熱です。自然エネルギーの太陽熱(日射熱)を室内に取り込んでも、断熱がされていなければ熱が外に逃げてしまいます。 きちんと断熱をすることで、自然室温の維持も可能で、暖房エネルギー消費の削減にもつながります。
室内では、空気温度(室温)と体感温度(人が感じる温度)、平均放射温度(窓・壁・床周辺などの表面温度)があります。屋根・天井・床、開口部、 通気止めの断熱材設置や湿気防止により、不快な室温のむらが減り、快適な温熱環境を実現できます。

■日射遮蔽手法
「日射遮蔽手法」で冷房エネルギー消費を削減します。
住宅内の温熱環境に大きく影響するのが日射です。寒い季節は、日射熱を取り込むことで暖房エネルギー消費の削減になりますが、逆に暑い季節では、 冷房エネルギー消費量が増えてしまいます。
夏場の室内を涼しく快適に保つには、通風と日射遮蔽が重要なポイントです。日射は、季節と建物部位の向きに大きく左右されてしまうので、 建物外皮の方位への配慮をし、内壁面などの表面温度の上昇を抑えます。開口部には、軒・屁や庭木、壁面緑化なども有効です。


③:省エネルギー設備技術

■暖冷房設備計画
「暖冷房設備計画」で暖房・冷房エネルギー消費を削減します。
断熱外皮と日射遮蔽の対策に加え、室内環境をより快適に保つのが暖冷房設備です。エネルギー消費量は設備の使用状況(世帯構成や在宅時間など)によっても変わってきます。
エアコン暖房機の機器選定では、COP(Coefficient of Performance)と呼ばれるエネルギー消費効率を確認します。この値が大きいほど効率のよい機器と言えます。
使い方では、単身者などの在宅時間の短い場合は個別冷暖房(エアコン暖冷房、温水式床暖房+エアコン暖冷房)の間欠運転、SOHO(在宅勤務) や高齢者などの在宅時間が長い場合は、セントラル方式(セントラル暖冷房)の連続運転というように、ライフスタイルに合わせた機器選択も必要です。

■換気設備計画
「換気設備計画」でエネルギー消費を削減します。
住宅内の空気環境を快適に保つ換気設備。窓を閉め切ったままでも、建築基準法で義務付けられているシックハウス対策の0.5回/h以上の換気量を確保するものです。
換気は、室内の空気を排出(排気)して、外の空気を取り込む(吸気)システムです。冬は冷たく、夏は暑い外気温度の空気が入ってくるため、直接、 体に当たらないようにするなどの工夫も必要です。
また、効率よく換気量を確保することは、換気にかかるエネルギー消費の削減になります。 例えば、ダクト式換気の場合は、ダクトの長さと曲がりを減らし、パイプファンの場合は、フィルターの汚れの付着を防ぐこまめな掃除なども効果的です。

■給湯設備計画
「給湯設備計画」で高まるエネルギー消費の削減します。
毎日の生活に欠かせない給湯設備。住宅内のエネルギー消費に占める割合が高いことから、効率の高い給湯設備を選択することで、エネルギー消費の削減効果が高まります。 バスルームやキッチンなどのリフォーム時にも検討をしたい部分です。
世帯構成(使用人数)や使用状況によって設備の選び方は異なります。給湯箇所や同時使用、床暖房などで使用頻度が多い場合は、相応の機能を持つ設備を選びます。
気になるイニシャルコストですが、ランニングコストの削減分も考慮しましょう。また、国や自治体などで導入に対する補助金制度もあります。

■照明設備計画
「照明設備計画」でより安全性と快適性もアップさせます。
住宅内の光環境は、快適な暮らしの基本的な要素とも言えます。省エネルギーを実現しつつ、安全性と快適性をアップさせることも求められます。
住宅内の明るさや暗さは安全にも関係し、年齢などの個人差もあることから、光環境をコントロールできる機能付きの器具などを採用します。
点滅・調光機能付きの照明器具や、一つの部屋に複数の照明で明るくする、多灯分散照明などの工夫でエネルギー消費を削減します。 例えば、リビングダイニングスペースの多灯分散照明では、テーブルの上、ソファ横のスタンド、ダウンライト、シーリングライトなどを導入することで、 必要に応じて明るくしたい部分だけを明るく照らすことが可能です。電球では、白熱灯よりも蛍光灯に交換すれば、同じ明るさを保ちつつ省エネルギーです。

高効率家電機器の導入
給湯、エアコンに次いで、住宅内のエネルギー消費量の高いのが家電機器。冷蔵庫や温水暖房便座まで入れると、 全体の約30%にものぼります。毎日使うものだからこそ、高効率の機器を選んでエネルギー消費を削減したいものです。
電力消費の高い家電機器は、最重点家電(冷蔵庫、テレビ、温水暖房便座)と重点家電(電気ポット、洗濯機)と位置付けられています。 長時間使うものこそ検討したい家電です。買い替え時には、現在保有している製品と、購入しようとする製品の省エネルギー性能を比較することが欠かせません。 その差が大きいほど、エネルギー消費の削減効果が高く、買い替えのメリットも高まります。

■水の有効活用
地球環境に配慮した住まいづくりで欠かせないのが、水の有効活用と排水・生ゴミの処理です。水まわり設備に節水機器を導入するだけでも エネルギー消費の削減効果は高まります。
暑い季節は、雨水や排水の再利用水などを庭に散水して涼を感じたり、周囲の気温を下げる効果もあり、冷房エネルギー消費の削減につながります。 生ゴミ処理では、コンポストやディスポーザー排水処理の採用で、ごみ減量化につながり、地球環境への負荷を軽減させることが可能です。