耐震リフォームのポイント


 わが国は頻繁に地震の起こる“地震大国”です。

    阪神・淡路大地震ではその犠牲者の実に8割以上が家屋の倒壊等による圧死が原因でした。
        国や地方公共団体も古い住宅の耐震化を積極的に進めようとしていますが、
                                なかなか耐震化が進んでいないのが現状です。

    震災は災害の中でも予測がつきにくく、ひとたび大地震が起こるとその被害は甚大です。
        阪神・淡路のような悲劇を繰り返さないために、現在住まわれている
               住宅の耐震性能をしっかり把握し、適切な耐震補強を行うことが必要となります。


地震はいつ来るかもしれないわけですから、我が家の状態を自分の目で確かめ知っておくことが大切です。また、多くの自治体では耐震診断に助成をおこなっていますから、その制度を利用するといいでしょう。 まずは自己診断簡易診断、 次に専門家の診断、そして補強計画、耐震補強リフォーム工事という手順を踏みましょう。


地震に弱い家とは?

旧工法の木造住宅

土台がなく、壁に筋交いのない旧工法による建物は耐震補強が必要です。

大きな開口部のある家

1階をガレージなどにするために開口部を大きく取った家は壁の強度が不足。

2階を増築した建物

建物が重くなり、1階の壁が重さに耐えられなくなっている場合があります。

基礎がコンクリートではない木造住宅

基礎の上にある土台の浮き上がりを防げず、倒壊の恐れがあります。

窓の多い家

外壁面の3/4以上開口部がある場合も壁の強度が不足。

大きな吹抜けのある家

吹抜けは極力小さくすることが耐震対策に有効です。

昭和56年(1981年)以前の建物

新耐震基準施行以前の建物は建物を支える壁の強度が不足している場合があります。

2階の壁の直下に1階の壁がない家

2階より1階が広い家によく見られます。2階の重みを十分に支え切れていません。

オーバーハングの家

1階より2階が飛び出している家です。1階が2階の重さを支え切れず地震の揺れでバランスを崩す恐れがあります。

凸凹の多い家

間取りに合わせてそれぞれの部屋に屋根が付いているような家は、地震などの際、各部屋がバラバラな動きをして損傷を受けやすくなります。

■屋根

屋根の耐震リフォームでは屋根を軽くすることが、地震に対して有効な選択肢のひとつになっています。 軽くて強い屋根材には金属板系、スレート系、コンクリート系の素材などがあります。

【金属板系】

金属板系はガルバリウム鋼板、アルミニウム板、ステンレス板、カラー鉄板など金属を使った屋根材があります。 瓦の形をしたもの、平葺きと呼ばれる長い板状のものが選択でき、厚さや色も選べます。

【スレート系】

スレート系はセメントと繊維でつくられている軽い屋根材です。スレートを選ぶ際はその耐久性を確認します。

【コンクリート系】

コンクリート系素材は軽量コンクリートにすることで、和瓦のよさをそのまま活かして軽くしたものや、ヨーロッパ風の軽量瓦もあります。 屋根の軽量化にどの素材を選ぶかは、もちろんその耐震効果や耐久性の視点で見ることは大切ですが、建物全体の美観や調和も考えて選択しましょう。

■柱

軸組工法(在来工法)では、柱と土台を組み合わせるために、木材を凸型(ほぞ)に加工したり、その凸部分を差し込むために組み合わせる木材に穴(ほぞ穴)を開けていました。

つまり削った分だけ木材の強度が弱くなるという弱点がありました。

接合部分に金具による耐震補強を施すことで、軸組工法の住宅であっても地震からの被害を軽減することが可能になります。
柱と柱の間に筋交いがある場合は「筋交いプレート」金具で、柱・筋交い・土台を固定します。筋交いがない場合は、土台と柱を「山型プレート」金具で緊結します。
長年の湿気による腐食や、シロアリの被害で柱や土台の木材がボロボロに劣化している場合もあります。このような場合は腐った(劣化した)木材を取り替えます。

■壁

軸組工法(在来工法)の住宅は、基本的に垂直の柱と水平の梁・土台だけの構成ですから横揺れに弱いという欠点があります。 この欠点を解消する耐震リフォームに「筋交いによる補強」と「構造用合板による補強」があります。

【筋交いによる耐震補強】

筋交いによる耐震補強は柱と梁そして土台の間に斜め材(筋交い)を入れて耐力壁をつくる方法です。筋交いの両端は金具で留めます。 筋交いは右揺れ左揺れに対処できるように「右上から左下への筋交い」「左上から右下への筋交い」というようにバランス良く入れます。


【構造用合板による耐震補強】

構造用合板による耐震補強は構造用合板とよばれる強靭で幅の広い板を柱・梁・土台に打ちつけ、耐力壁をつくります。


壁の耐震リフォームはリフォーム個所の面積の大きさなどによっては、室内側からの「内から工事」では住みながらのリフォーム工事が難しい場合があります。 しかし「外から工事」を選べば、住みながらの耐震リフォームも可能です。「内から工事」「外から工事」のメリット・デメリットは次のようなものです。

【内から工事】

内から工事はメリットとしては壁の中の柱だけでなく見えなかった天井裏の梁など骨組みをチェックできますが、デメリットは工事中は住みにくく、 仮住まいが必要になることも考えておく必要があります。

【外から工事】

外から工事メリットとしては住みながら耐震リフォームが進められますが、デメリットは外側に面した柱・梁・土台のみのチェックでリフォームすることになります。

■基礎

昭和56年(1981年)に施行された改正建築基準法の新耐震基準では「基礎は鉄筋コンクリート造とする」と定められており、布基礎ベタ基礎の2種類があります。
それ以前に建てられた家にはそうした規定がなく、 石を置いただけの基礎や鉄筋なしのコンクリート基礎などさまざまな基礎の上に家が乗っている状況です。
これらの基礎は地震の際にバラバラに反応し、建物をぐらつかせる原因となります。 家の基礎は建物全体を支える文字通り基礎ですから、耐震リフォームでは基礎のチェックと耐震補強が欠かせません。
「鉄筋なしのコンクリート基礎」の場合、基礎の耐震補強リフォーム工事では、鉄筋の入ったコンクリートを鉄筋なしの基礎と鉄筋で固定して布基礎に改良する方法や、 床下地面にコンクリートを敷き詰めて耐震性を高めるなど、既存の基礎と連結して補強を図る必要があります。 「布基礎とベタ基礎の概要」

■塀

【鉄筋入りのブロック塀】

塀の耐震補強には鉄筋入りのブロック塀の場合は低目にブロック部分は数段にして、上部はアルミフェンスとし、 長いブロック塀には塀に直角に「控え壁」を施工しておく工夫が考えられます。

【自然石塀】

自然石塀は安全性を考えて極力低くしておけば、被害を軽減することも可能になります。

【生垣】

生垣は倒壊の危険がないため地震に対しては一番安全な塀となりますが、防犯面では不安な点もあります。その場合はアルミフェンスなどの施工も考慮します。

【その他】

その他、道路から一段高くなっている住宅の場合、地震に対しては擁壁(土留め)の耐震リフォームを施しておくことも重要です。

■その他

鉄筋コンクリート(RC)や鉄骨の住宅は昭和56年(1981年)の改正建築基準法に基づいて着工された住宅は新耐震基準を満たしていますが、 それ以前に建築された住宅は、改正前の建築基準法で建てられているため、鉄筋の施工量の不足など耐震性能が劣っている場合があります。
例えば、1階の全てが駐車場になっている住宅は、阪神・淡路大震災で1階がダルマ落としのようにつぶれたケースが数多くありました。
これ以外にも、経年劣化によって耐震不足などを起こしている場合もあります。これらの住宅は耐震診断を受け、住宅の現況をチェックしておく必要があります。

耐震リフォームの基礎知識

◆自分の目でチェック「我が家の耐震性」◆

国土交通省の監修による「我が家の耐震診断のポイント」を、次に記します。

「我が家の耐震診断のポイント」

  • ●新築は昭和56年(1981年)以降

  • ●今まで大きな災害に見舞われたことはない

  • ●建築確認などの手続きをして増築したか、増築していない

  • ●傷んだ箇所はない。または手入れをしている*傷んだ箇所とは主に外壁や基礎のヒビ割れを指しています。

  • ●建物の形はほぼ長方形、複雑な形ではない

  • ●2階と1階の壁がほぼ一致している

  • ●一辺が4m以上の大きな吹抜けはない

  • ●1階の外壁4面すべてに半間以上の壁がある

  • ●屋根材は軽いか、瓦葺きでも1階に壁が多い

  • ●鉄筋コンクリートの布基礎・ベタ基礎・杭基礎などの強固な基礎である


当てはまるものが7項目以下なら簡易診断を行うか、 専門家に見てもらうことを国土交通省も推奨しています。

●耐震関連リンク集